中日新聞朝刊 連載「味な提言」

2009年9月27日に発行された中日新聞朝刊記事を紹介します。

▼第三回 顔の見える関係 「いただきます」

 私たちの会社での「子どものための豆腐作り」には、国産大豆は、はずせませんでした。最初は、問屋さんから国産大豆というだけで買っていました。それは、美味しい豆腐作りのための凝固剤のにがりの特性に合わせるという理由だったからです。その後、大豆の袋に書いてある生産者の名前が、気になりだしました。どんな人が作っているんだろう・・・。できれば直接あって話がしたい・・・。交付金が絡む複雑な流通経路の大豆取引の中では、生産者と会って仲良くなることまでは困難でした。

  ある日、隣町にすむ加藤さんという農家の方が、尋ねてきておからを分けてほしいというのです。「何にするの?」素朴に聞くと、EM菌とおからで肥料を作り、それで米、麦、大豆を作るといったときに、思わず「その豆、売ってくれませんか!」という自分がいました。それが縁で、大豆を分けてもらうと同時にいろんな農業の話を聞きました。興味深い話ばかりでどんどんのめりこんでいきます。当時は、無農薬栽培がいいと勝手に思っており、加藤さんにその話をすると「害虫が出たらどうするのか?だれが担保するのか?」といわれ、勝手なことを言っている自分にはっと気が付きました。「もしも使わなければいけなかったら、ちゃんと消費者に伝えることのほうが価値あるんじゃないかな?」そんな言葉で目から鱗が落ちるようでした。その後、消費者の方や子供達と交流する機会も増え、この話を良くします。
生産者、実需者、消費者の「顔の見える関係」で一番必要なのは、常にそこに人がいて信頼しあうことです。その原動力になるものは、買ってくれて、食べてくれて、作ってくれて「ありがとう」の関係でしょう。消費者から見れば、ごはんもパンも豆腐も必ずそれを加工する人がいてその先には、農家がいるということ。たとえ本当に会うことがなくとも存在を感じる意識を持つことが大事だということです。それが分かれば、コンビニやファミレスで嫌いだから、おなかがいっぱいだからといって平気で食べ物を残しません。お母さんが丹精込めたものは、残さず食べきる努力をするのと同じです。
子ども達に「「いただきます」は、命を戴くということで、動物や魚、野菜もみんな命あるものを自分達が口に入れて生きている。つまり自分達は、他の命をもらって生かしてもらっている。だから、感謝の気持ちで手を合わさなきゃいけないよ。」みんな神妙な顔で聞いてくれます。私は、食べるということで人のことを思いやれる、あったかい社会にしたいものです。多分出来ると思います。なぜなら、心と身体に美味しいごはん食べてるときは、みんなわらってるから・・・

第二回 会社設立の経緯 子供が生まれて見えたこと >>

第四回 大豆きっず倶楽部  子ども達との活動から見えるもの >>



中日新聞朝刊 連載「味な提言」全6回掲載

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