中日新聞朝刊 連載「味な提言」

2009年10月11日に発行された中日新聞朝刊記事を紹介します。

▼第五回 賃金倍増計画 授産施設での食品製造の意味

第五回 賃金倍増計画 授産施設での食品製造の意味

私たちの会社は、豆腐やパン、お菓子にデザートを作っています。食育の活動をはじめて、日常生活でのもっとも身近で老若男女、誰でも「食べる」という行動が、いかに必要なものであるかということを私達は、改めて感じています。同時にこれらを通した地域活動こそが、私達食品メーカーとしての社会的責務のひとつだと思います。
私達、おとうふ工房いしかわの活動をもうひとつ紹介します。それは、授産所「高浜安立(あんりゅう)」での賃金倍増計画ことです。ある日、施設長の成瀬君が、我が社を訪ねてきました。「今の障害者支援法のなかで、障害者の生活環境は、非常に厳しい状況になっている・・・」という話です。簡単に言えば、働くために授産所に行き、そこで利用料を払い、わずかな報酬をもらう。個人に払われる手当てもグループホームで暮らせばほとんどなくなり自由に使えるお金の余裕なんてない。だから、自分達で仕事をして今の賃金の倍の給料を取りたいという話でした。それでは、いくら給料をもらっているかといえば、多くて月に3万円だという。私にとって全然知らない世界でした。「じゃあ何したいの?」とたずねると弁当を作って売りたいとのこと。あまりにリスクが大きいから、せめて腐らないお菓子にしたら・・・そんな障害者の立場から始まったプロジェクトです。
その後、文教女子短大の安藤教授に教えを請い、アレルギーの子ども達のお菓子作りという方向性をつけました。普通の子供が食べても美味しくてアレルギーのこどもにも平気なもの、食べ物で差別されないものを作ろうということでした。具体的言えば、地元のお米と大豆を使って添加物なし、油も使わないスナック菓子つくりです。中部大学の根岸教授や吉川機械製作所の方他、多くの人に助けられて2年間、今年の春には、発売が出来そうです。商品名は「ぱりまるくん」。パッケージデザインは、学生さん達です。障害者の自立支援が、大きく輪が広がって子ども達に食べさせたいお菓子作り活動へ成長しました。
そして、この工房に多くの人たちが買い物に来てもらい、試食品をみんなでつまみながら授産所の利用者さんとお客様が触れ合うことが出来ることを夢見ています。勿論、保育園や幼稚園のおやつにも使ってもらえたらとも思っています。食べることを通じて人を幸せにさせことが出来れば、自分も幸せになれる。こんな授産所の活動も私達は、素敵な人を育てるという大切な食育活動のひとつだと考えます。


第四回 大豆きっず倶楽部  子ども達との活動から見えるもの >>

最終回 食育が果たす役割 >>



中日新聞朝刊 連載「味な提言」全6回掲載

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