日本古来から伝わる豆腐。その豆腐は、ルーツの中国のものとは、加工法も違い、味や食感も異なります。(メモ1)日本人そして日本の四季によって育まれたものが現代の日本の豆腐です。中国では、加工食材としての位置付けが強く、炒める、焼く、煮る、揚げるといったものが多いです。日本では、素材としての冷やっこや湯豆腐のものが好まれています。そのために食感のよい柔らかさを追求したものが評価されるようになりました。

第2次世界大戦を境に日本の豆腐もにがりからすまし粉へと変わりました。(メモ2)私たちの前身の石川豆腐店もすまし粉を使っておりました。せっかく日本人によって育まれたにがり豆腐を復活させたいという想いで復活させました。もちろん京都の嵯峨豆腐に代表されるようなのどざわりを重視したすまし粉の豆腐を否定するつもりはありません。おとうふ工房のお豆腐を選ばれる消費者の多くは、にがりが選択されます。私たちがにがりにこだわるわけがここにあります。

そして大豆も私たちがこだわるポイントであります。国内産にこだわるのは、もちろん豆腐適性や味の面も大きいですが他にも理由があります。今現在の国内自給率が、40%という点においては、国内産の農産物の消費拡大と増産体制が大きな責務です。勝手な言い方かもしれませんが、実需者、消費者が生産を引っ張るような形でも生産を引き上げたいと思います。生産サイドから聞こえてくる言葉に地産地消がありますが、いくら旗を振ってもそれを製造するメーカーがなければなりません。私たちは、全量国産大豆使用にする事によってその役割を担いたいと思います。そして顔の見える生産、実需、流通、消費と言う流れを作る必要性があります。

コンビニや給食で平気に食べ物を残し捨てるのは、つくり手の顔が見えていない事が大きな点です。お母さんが作ったものを残す子供はありません。残しても親が食べます。当たり前の事です。食育と言うことがよく言われますが食べ物の尊さがほんとうにわからなければいけません。国内の農産物を扱う事によって、私たちは、顔の見えるモノづくりを目指します。

国内産大豆には、遺伝子組み替えの大豆がまったくないことも大きな価値です。遺伝子組換えの安全性もさることながら米国の一民間企業がF1の種子から殺虫剤までを一元的に支配する事は、日本の農業自治を侵害するものです。世界の食糧問題は、辛辣に考えなくてはいけませんが、国内の法律が未整備なまま容認する事に対して強い不安要素があります。だから、国内産にこだわる要素の一つでなのです。

栄養学的にも高たんぱくの食品で尚且つ、微量成分のサポニン、イソフラボン、レシチン・・・と有効成分が多く含まれたすばらしい食品を私たちが製造していることは、大きな誇りであります。来るべき高齢化社会においても豆腐がもっと評価されるに違いありません。みんなでもっとたくさん豆腐を食べましょう。

メモ1:大陸系の豆腐の特徴は、豆乳とおからの分離するタイミングが違います。大陸系では、生絞り法、日本は、煮取り法。要する煮る前に絞るのか、煮てから絞るのかの違いです。たいした違いではないように見えますが、実は豆乳に大きな違いが出ます。これは大豆の中に含まれるサポニンや配糖体が胚軸から40℃以下では抽出しないからです。平たく言えば、生絞りは、あっさり系、煮取りは、こってり系とでもいいましょうか。生絞りは、抽出率が落ちる為に濃度が低くなってしまうことが多いです。 凝固剤も大陸系は、すまし粉(硫酸カルシウム)、日本はにがり(塩化マグネシウム)と入手の簡単なものが、使われてきました。

メモ2:戦時中軍部によって、ジュラルミンの素材としてマグネシウムを、ガソリンのノッキング防止剤としてブロムを使うためににがりが統制品に指定されました。その代用品として廃型石膏が使われるようになり、戦後長い間、その使いやすさと歩留りのよさで使われるようになりました。

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